人工股関節置換術(THA)を検討されている患者さんから、
- 手術したらしゃがめなくなりますか?
- 農業は続けられますか?
- 草引きや家庭菜園はできますか?
- 床に座ったり正座したりできますか?
といった質問をよくいただきます。
特に福知山市や北近畿エリアでは、農業や家庭菜園をされている方も多く、「しゃがめるかどうか」は手術を受けるかどうかを決める重要なポイントの一つです。
結論から言うと、多くの患者さんは人工股関節手術後にしゃがむことが可能になります。
ただし、どこまで深くしゃがめるかには個人差があります。
人工股関節になるとしゃがめなくなるのでしょうか?
「人工股関節にしたらしゃがめなくなる」 と思われている患者さんは少なくありません。
しかし実際には、多くの患者さんが手術後にしゃがむ動作を行っています。
むしろ変形性股関節症が進行すると、
- 股関節が痛い
- 関節が硬い
- 足の爪が切りにくい
- 靴下が履きにくい
- しゃがめない
といった症状が出てきます。
人工股関節手術によって痛みが改善することで、手術前より動きやすくなる患者さんも少なくありません。
しゃがめるかどうかは何で決まるのでしょうか?
しゃがみ込みの深さは人工股関節そのものだけでなく、
- 股関節の柔軟性
- 膝関節の状態
- 足関節の柔軟性
- 筋力
- 体格
など様々な要素によって決まります。
そのため、同じ人工股関節手術を受けても、
- 深くしゃがめる方
- 中腰程度までの方
- 手すりがあればしゃがめる方
など個人差があります。
農業や草引きはできますか?
これは非常によく聞かれる質問です。
結論として、多くの患者さんは農業や家庭菜園を継続されています。
実際に当センターでも、
- 畑仕事
- 草引き
- 家庭菜園
- 庭仕事
を再開されている患者さんは多数おられます。
ただし、術後早期から長時間のしゃがみ込みを行うことはおすすめしていません。
まずは体力や筋力の回復を優先し、徐々に活動量を増やしていくことが大切です。
正座はできますか?
こちらの記事をご参照ください。
人工股関節が外れる(脱臼する)心配はありませんか?
以前は人工股関節手術後に厳しい動作制限が設けられることもありました。
しかし近年はインプラントや手術技術の進歩により、以前より脱臼リスクは低下しています。
当センターでは前外側アプローチ(ALS:Anterolateral Supine Approach)を採用しており、術後の脱臼予防にも配慮しています。
京都ルネス病院人工関節センターの考え方
私たちが目指しているのは、単に痛みを取ることだけではありません。
患者さんが、
- 買い物へ行く
- 旅行へ行く
- 農業を続ける
- 趣味を楽しむ
- 家族と過ごす
といった日常生活を取り戻すことを目標としています。
実際には手術後に、
「もっと早く手術を受ければ良かった」
とおっしゃる患者さんも少なくありません。
まとめ
- 多くの患者さんは人工股関節手術後にしゃがむことが可能になる
- どこまで深くしゃがめるかには個人差がある
- 農業や家庭菜園を再開される患者さんは多い
- 正座は可能な場合もあるが個人差が大きい
- 手術によって手術前より動きやすくなる患者さんも少なくない
よくある質問(FAQ)
人工股関節手術後に畑仕事はできますか?
多くの患者さんが再開されています。ただし術後早期は無理をせず、徐々に活動量を増やすことが大切です。
人工股関節手術後に草引きはできますか?
多くの方で可能です。ただし、再開時期や姿勢には個人差があります。椅子や作業用の台を活用すると身体への負担を減らせます。
人工股関節手術後にしゃがむと人工関節が外れますか?
通常の日常生活で直ちに脱臼することは多くありません。当センターでは人工股関節術後に脱臼された方は現時点ではいらっしゃいません。(2026年8月時点)
ご相談・診療について
当センターには福知山市を拠点に、北近畿エリア(綾部市・京丹後市・宮津市・与謝野町・舞鶴市・豊岡市・養父市・朝来市・丹波市)からも多数ご来院いただいています。
人工股関節置換術(THA)や人工膝関節置換術(TKA)をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
この記事は京都ルネス病院人工関節センター長、整形外科専門医・人工関節認定医 藤井嵩が執筆しています。
