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レントゲンが悪い=手術ではない?膝・股関節痛を専門医が解説

2026 5/13
センター長コラム
2026年5月20日

「レントゲンでかなり悪いと言われました」

外来で非常によく聞く言葉です。

しかし実際には、“レントゲンが悪い=すぐに人工関節手術”とは限りません。

逆に、レントゲンではそこまで強い変形がないのに、日常生活がかなり困難になっている患者さんもおられます。

変形性膝関節症や変形性股関節症では、画像所見と症状が完全には一致しないことが少なくありません。

この記事では、「なぜレントゲンだけでは手術適応が決まらないのか」を、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。

目次

この記事でわかること

  • レントゲンが悪くても手術しないケース
  • 逆に手術を検討すべきケース
  • 痛みと画像が一致しない理由
  • 人工関節手術で本当に重要な判断基準
  • セカンドオピニオンが重要なケース

レントゲンが悪くても痛みが少ない人はいます

実際の診療では、

  • 「骨と骨がかなり近い」
  • 「軟骨がかなり減っている」
  • 「変形が進行している」

ように見えても、比較的普通に歩けている患者さんがおられます。

一方で、

  • レントゲンでは軽度変形
  • 軟骨も多少残っている

にもかかわらず、

  • 歩行困難
  • 夜間痛
  • 階段が困難
  • 外出できない

という患者さんもいます。

つまり、「画像の悪さ」と「つらさ」は必ずしも一致しません。

なぜレントゲンと痛みは一致しないのか?

① レントゲンでは「軟部組織」が見えにくい

レントゲンで主に見えているのは骨です。

しかし実際の痛みには、

  • 滑膜炎
  • 関節液
  • 筋肉
  • 靭帯
  • 神経
  • 骨髄病変(Bone Marrow Lesion)

なども関係しています。

つまり、「骨の変形」だけで痛みが決まっているわけではありません。

② 痛みの感じ方には個人差があります

同じレントゲン所見でも、

  • ほとんど気にならない人
  • 強い痛みを感じる人

がいます。

これは神経の感受性や生活背景、活動量なども関係していると考えられています。

③ 腰や背中が原因のこともあります

膝や股関節が痛いと思っていても、

  • 腰椎疾患
  • 脊柱管狭窄症
  • 坐骨神経症状

などが影響しているケースもあります。

特に、

  • しびれを伴う
  • 長距離歩行で悪化
  • 前かがみで楽になる

場合には、腰由来の症状も考慮が必要です。

では、何を基準に手術を決めるのか?

人工関節手術で本当に重要なのは、

「生活への支障がどの程度あるか」

です。

例えば、

  • 歩行距離がかなり短くなった
  • 買い物に行けない
  • 夜も痛くて眠れない
  • 旅行を諦めている
  • 趣味をやめてしまった
  • 家の中でもつらい

など、日常生活への影響が強くなっている場合、手術が選択肢になります。

逆に、

  • レントゲンは悪い
  • でも日常生活は普通に送れる
  • 痛みも軽度

であれば、すぐに人工関節を行わないケースも少なくありません。

「まだ手術は早い」と言われ続けるケースもあります

一方で、

  • 強い痛みが長期間続いている
  • 歩行能力が低下している
  • 筋力低下が進んでいる
  • 活動量が著しく落ちている

にもかかわらず、

「まだ若いから」 「もう少し我慢しましょう」

と言われ続けている患者さんもおられます。

もちろん人工関節は慎重に判断すべき手術ですが、我慢を続けすぎることで、

  • 筋力低下
  • 拘縮
  • 活動性低下
  • 全身状態悪化

につながることもあります。

そのため、単純に「年齢」だけで判断するのではなく、生活機能全体をみて判断することが重要です。

セカンドオピニオンが有効なこともあります

変形性膝関節症や股関節症では、

  • 保存治療中心の考え方
  • 早期手術寄りの考え方
  • 部分置換を検討する考え方

など、医師によって判断が異なることがあります。

そのため、

  • 本当に手術が必要なのか
  • まだ保存治療でいけるのか
  • 部分置換が可能なのか

迷われている場合には、セカンドオピニオンも選択肢になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. レントゲンが悪いと言われたら必ず人工関節になりますか?

必ずしもそうではありません。痛みの程度や生活への影響を総合的に判断します。

Q2. レントゲンが軽度でも痛みが強いことはありますか?

あります。滑膜炎や神経、筋肉、骨髄病変(骨壊死や骨頭壊死など)が関係していることがあります。

Q3. MRIを撮れば痛みの原因がわかりますか?

MRIが有用なケースもありますが、画像だけで全て判断できるわけではありません。診察所見と合わせて評価することが重要です。

Q4. 何歳くらいで人工関節を受ける人が多いですか?

一般的には60〜80代が多いですが、年齢だけではなく症状や生活機能を重視して判断されます。

まとめ

変形性膝関節症や変形性股関節症では、

「レントゲンが悪い=すぐ手術」ではありません。

重要なのは、

  • 現在どの程度困っているか
  • どの程度生活に支障があるか
  • 今後どのような生活を送りたいか

です。

画像だけではなく、患者さん自身の症状や生活背景を含めて総合的に判断することが大切です。

変形性膝関節症について詳しくはこちら

変形性股関節症について詳しくはこちら

ご相談・診療について

当センターには福知山市を拠点に、北近畿エリア(綾部市・京丹後市・宮津市・与謝野町・舞鶴市・豊岡市・養父市・朝来市・丹波市)からも多数ご来院いただいています。

「本当に人工関節が必要なのか知りたい」 「他院でまだ早いと言われた」 「手術以外の選択肢も含めて相談したい」

という方も、お気軽にご相談ください。

この記事は京都ルネス病院人工関節センター長、整形外科専門医・人工関節認定医 藤井嵩が執筆しています。

参考文献・出典

  • Dieppe PA, et al. Osteoarthritis and pain. Rheum Dis Clin North Am. 2005.
  • Bedson J, Croft PR. The discordance between clinical and radiographic knee osteoarthritis: a systematic search and summary of the literature. BMC Musculoskelet Disord. 2008.
  • Hunter DJ, et al. Structural correlates of pain in joints with osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage. 2013.
  • 日本整形外科学会 変形性膝関節症診療ガイドライン

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