股関節の人工関節手術(THA)は高い満足度が得られる治療ですが、まれに「痛みが残る」「違和感がある」と感じることがあります。
まず痛みや違和感の原因を調べ、原因に応じて再手術(再置換術など)が必要かを判断します。
この記事では、整形外科専門医・人工関節認定医の立場から、股関節人工関節の再手術について、原因と改善の可能性を解説します。
この記事でわかること
- 股関節人工関節の再手術が必要になる原因
- 再手術で改善が期待できるケース
- 再手術のリスクと限界
- 後悔しないための判断ポイント
股関節人工関節はやり直しが可能な治療です
人工関節は一度入れたら終わりではなく、必要に応じて再手術が可能です。
ただし、初回手術よりも難易度や合併症のリスクが高く、慎重な判断が必要です。
再手術が必要になる主な原因
① インプラントのゆるみ(loosening)
長期間の使用や骨との固定の問題により、痛みが出ることがあります。骨折や感染が原因となることもあります。
② 脱臼(dislocation)
股関節特有の合併症であり、繰り返す場合は再手術が必要になることがあります。
③ 感染(infection)
頻度は低いですが、再手術の大きな原因の一つです。急性の感染でインプラントが安定している場合などは、感染組織を除去して温存する手術(DAIR)を検討します。一方、慢性の感染やゆるみがある場合などは、インプラントを交換する一期的または二期的再置換術が選択肢になります。発症からの期間、原因菌、周囲の組織や全身状態を踏まえて判断します。
④ インピンジメント・不適合
インプラントの位置や可動域の問題により、痛みや違和感が出ることがあります。
再手術で改善が期待できるケース
以下のように原因が明確な場合は、再手術による改善が期待できます。
- 明らかなゆるみ
- 脱臼の原因が特定できる場合
- インプラント位置異常
再手術では改善が難しいケース
- 原因が特定できない痛み
- 腰椎由来の神経痛
- 筋・腱の問題
このような場合、再手術ではなく他の治療が適している可能性があります。
再手術のリスク
- 手術時間の延長
- 出血量の増加
- 感染リスクの上昇
- 骨折リスクの上昇
など多くのリスクがあります。そのため、慎重な判断が必要です。
最も重要なのは「原因の特定」
再手術の成功は、
痛みの原因をどこまで正確に見極められるか
にかかっています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 股関節人工関節は何回もやり直せますか?
可能ですが、回数が増えるほど難易度とリスクは上がります。
Q2. 再手術で必ず良くなりますか?
原因が明確であれば改善が期待できますが、すべてではありません。
Q3. 他院で手術した場合でも相談できますか?
はい、可能です。実際に他院で手術をされてから当院を受診され、適切な原因評価を行った上で再手術を行い、症状が改善した患者さんがいらっしゃいます。
ご相談・診療について
人工関節術後の痛みにはさまざまな原因があります。
当センターでは、再手術の可否だけでなく、最も適切な治療法を総合的に判断しています。
【当センターには福知山市を拠点に、北近畿エリア(綾部市・京丹後市・宮津市・与謝野町・舞鶴市・豊岡市・養父市・朝来市・丹波市)からも多数ご来院いただいています。
この記事は京都ルネス病院人工関節センター センター長、整形外科専門医・人工関節認定医 藤井嵩が執筆しています。】
参考文献
Sigmund IK, et al. DAIR as curative strategy for acute periprosthetic hip and knee infections: EBJIS position paper. J Bone Jt Infect. 2025;10:101–138. 全文

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