膝の痛みは非常によくある症状ですが、原因は1つではありません。年齢とともに進行する変形性膝関節症、半月板損傷、炎症、使いすぎなど、背景によって治療法は大きく変わります。
特に、「まだ手術は早いのではないか」「注射やリハビリでどこまで様子を見てよいのか」と迷われる方は少なくありません。この記事では、膝の痛みの代表的な原因、保存療法と手術の考え方、受診の目安についてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 膝の痛みの主な原因
- 変形性膝関節症と半月板損傷の違い
- 保存療法で様子を見てよいケース
- 人工膝関節手術を考えるタイミング
- 病院選びで確認すべきポイント
膝の痛みの原因で最も多いのは変形性膝関節症です
中高年の膝痛で最も多い原因は、変形性膝関節症です。軟骨がすり減り、関節の炎症や変形が進むことで、立ち上がり・歩き始め・階段などで痛みが出やすくなります。
変形性膝関節症の基本的な考え方については、膝関節ページでも詳しく解説しています。
半月板損傷と変形性膝関節症は似ていますが、同じではありません
「半月板が切れていると言われた」「軟骨が減っているとも言われた」という方は多いですが、半月板損傷と変形性膝関節症は別の病態です。ただし、実際には両方が同時に存在していることも珍しくありません。
この2つの違いを正確に理解しておかないと、治療方針がぶれます。詳しくは、半月板損傷と変形性膝関節症の違いとは?症状・原因・治療法を整形外科医が解説をご覧ください。
まずは保存療法から始めるのが基本です
膝の痛みがあるからといって、すぐに手術になるわけではありません。まずは以下のような保存療法を検討します。
- 体重管理
- 運動療法・リハビリテーション
- 痛み止めや外用薬
- ヒアルロン酸注射
- 装具療法
初期から中等度であれば、こうした方法で十分に症状を抑えられることがあります。一方で、保存療法を続けても日常生活に支障が残る場合は、次の段階を考える必要があります。
最近は膝の痛みに対する新しい治療もあります
膝の痛みに対しては、従来の保存療法に加えて、ラジオ波治療(Coolief)やCryoneurolysis(Iovera)のような新しい選択肢が話題になることがあります。
ただし、これらは全ての方に適応があるわけではなく、変形の程度や痛みの性質、年齢、活動性などを踏まえて位置づける必要があります。詳しくは、膝の痛みに対するラジオ波治療「Coolief」とは?専門医が解説をご参照ください。
こんなときは人工膝関節手術を考える段階です
次のような状況では、人工膝関節手術を含めた検討が現実的になります。
- 痛みで長く歩けない
- 階段や立ち座りがつらい
- 夜間痛がある
- 注射やリハビリを続けても改善しない
- レントゲンで変形が進行している
重要なのは、「限界まで我慢してから手術」だけが正解ではないということです。我慢しすぎると筋力や歩行機能が落ち、術後の回復にも不利になることがあります。
人工膝関節手術が不安な方へ
「手術しても痛みが残るのではないか」と心配されるのは自然です。実際、術後の痛みには一時的なものと注意が必要なものがあります。
その点については、人工膝関節全置換術 TKA後の痛みで詳しく解説しています。手術を迷っている方ほど、術後経過の現実を知っておくべきです。
病院選びでは「誰が手術するか」を確認してください
人工膝関節手術では、病院名だけでなく、誰が評価し、誰が執刀し、どのような体制で術後まで診るのかが極めて重要です。
当センターの治療方針や執刀医については、センター長の紹介をご覧ください。
また、膝や股関節に関する他の記事は、医療コラム一覧からまとめて読むことができます。
膝の痛みは「まだ大丈夫」と思っている間に進行することがあります
膝の痛みは、単なる年齢のせいとして片づけられがちです。しかし、変形が進んでからでは選べる治療の幅が狭くなることがあります。保存療法で様子をみてよい時期なのか、それとも手術も含めて考える時期なのかは、診察と画像評価を受けないと判断できません。

ご相談・診療について
当センターには福知山市を拠点に、北近畿エリア(綾部市・京丹後市・宮津市・与謝野町・舞鶴市・豊岡市・養父市・朝来市・丹波市)からも多数ご来院いただいています。
膝の痛みでお悩みの方は、診察案内をご確認のうえ、お気軽にご相談ください。
この記事は京都ルネス病院人工関節センター長、整形外科専門医・人工関節認定医 藤井嵩が執筆しています。
コメント