ここでは、京都ルネス病院人工関節センター長として臨床に携わると同時に、
大阪大学医学部附属病院未来医療開発部未来医療センターでも先進的な医療機器や新しい治療法の研究にも関わっています。
その経験をもとに、新しい治療法についても常に情報をアップデートしながら、患者様に最適な治療を提供できるよう努めています。
StimQのような技術は、将来的に膝や股関節の痛みに対する低侵襲かつ疼痛を軽減する治療として、将来的には可能性があると感じています。
目次
【この記事でわかること】
- StimQとはどんな医療機器なのか?
- FDAの承認状況と使用対象
- 膝の痛みに対して使えるのか?
- Coolief・Ioveraとの違いは?
- 将来的に期待される使い道と注意点
StimWaveとは?
StimWave Technologiesが開発したFreedom™ / StimQ™シリーズは、**極小型・ワイヤレスで動作する神経刺激装置(ニューロモデュレーション)**です。
神経に電気刺激を与えることで痛みの信号を抑制し、薬に頼らずに痛みを軽減することを目的としています。
主な特徴:
- 体内に植え込む電池が不要(バッテリーは外部装着)
- わずか1~2cm程度の細い電極リードを神経の近くに留置
- 外部送信機によって信号を伝達
- 完全ワイヤレスで、MRI対応のモデルもあり
FDAの承認状況は?
StimQ PNS(Peripheral Nerve Stimulator)システム
- FDA 承認
- 末梢神経に対する神経刺激治療として、肩・膝・手足などの慢性疼痛に対応
Coolief や Iovera との違いは?
| 項目 | StimWave(StimQ) | Coolief(冷却高周波) | Iovera(凍結神経治療) |
|---|---|---|---|
| 原理 | 電気刺激で神経信号を抑制 | 高周波熱で神経を一時的に焼灼 | 極低温で神経を凍結・一時的に遮断 |
| 効果の持続 | 装置使用中は持続可能 | 約6か月前後 | 約3か月 |
| 対象 | 慢性疼痛、神経性疼痛(膝含む) | 膝OAに伴う痛み(主に神経性) | 膝OA、術後痛、神経痛など |
| 内容 | リードを皮下に植込む | 注射針+高周波装置 | プローブ刺入 |
よくある質問(FAQ)
Q1. StimQは日本で使えますか?
A1. 現時点(2025年)では、日本では未承認です。将来的に国内導入が進む可能性があります。
Q2. 体の中に何かを入れるのが不安です
A2. StimQは非常に小さなリードで、体への負担は少なく、取り外しも可能です。手術と違い、関節を削ることもありません。
Q3. 将来の手術に影響はありますか?
A3. ありません。StimWaveを外したあとにTKAやUKAを行うことは可能です。
ご相談・診療について
当センターでは、将来的にStimWaveのような先進医療も視野に入れて治療方針をご提案しています。
【当センターには福知山市を拠点に、北近畿エリア(綾部市・京丹後市・宮津市・与謝野町・舞鶴市・豊岡市・養父市・朝来市・丹波市)からも多数ご来院いただいています。
この記事は京都ルネス病院人工関節センター センター長、整形外科専門医・人工関節認定医 藤井嵩が執筆しています。】
参考文献・出典
- Neuronews International. FDA clears Stimwave’s miniature StimQ peripheral nerve stimulator. 2016 Mar 31.
NeuroNews article

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