目次
【この記事でわかること】
- 人工関節手術で使われる「セメント」ってなに?
- セメント固定とセメントレス固定の違い
- それぞれのメリット・デメリット
- 年齢や骨の質によって選び方が変わる理由
- 当院での使用方針と考え方
よくある患者さんの声
「人工関節に“セメント”ってどういう意味?」
「セメントを使った方が丈夫なの?」
「年をとってるからセメントの方がいいって本当?」
「セメント」=コンクリートではありません
人工関節でいう「セメント」とは、**骨セメント(Bone Cement)**と呼ばれる医療用の樹脂(主にポリメチルメタクリレート:PMMA)です。
 骨と人工関節のすき間を物理的に埋めて固定する接着剤のような役割を果たします。
 コンクリートのように硬化しますが、圧着することで早期からしっかり固定できるという利点があります。
セメント vs セメントレス:どう違う?
| 特徴 | セメント固定 | セメントレス固定 | 
|---|---|---|
| 固定方法 | 骨セメントで接着 | 骨の再生力で直接固定(骨生着) | 
| 安定性 | 手術直後から安定 | 徐々に強固に | 
| 適している人 | 骨がもろい方 | 骨がしっかりしている方 | 
| 使用頻度 | 股関節では減少傾向(特に若年) | 現在の主流(特に若年〜中年) | 
高齢者には「セメント」が向いていることも
高齢者では骨がもろく骨折のリスクがあるため、セメント固定が適している場合があります。
逆に、骨密度が十分で骨の再生力が期待できる方にはセメントレスを選ぶことが多いです。
🏥 当院の考え方・使用方針
当院では、患者さんの年齢・骨の状態・活動度を総合的に判断して、
セメント or セメントレスを選択しています。
▶ 術中の骨の状態を直接確認しながら、最終判断を行います。
📝 まとめ
- 「セメント固定」は人工関節と骨を“接着”する医療技術のこと
- 骨の状態によって、セメント固定とセメントレス固定を使い分ける
- 一概に「どちらが良い」とは言えず、患者さんに合った方法の選択が最も重要
- 当院では、手術中に骨の質を確認しながら最適な方法を選んでいます
💬 ご相談・診療について
セメントの有無を含め、「自分にはどんな手術が適しているのか」気になる方は、
どうぞお気軽にご相談ください。
当センターには福知山市を拠点に、北近畿エリア(綾部市・京丹後市・宮津市・与謝野町・舞鶴市・豊岡市・養父市・朝来市・丹波市)からも多数ご来院いただいています。
この記事は京都ルネス病院人工関節センター センター長、整形外科専門医・人工関節認定医 藤井嵩が執筆しています。
参考文献・出典
- Charnley J. The long-term results of low-friction arthroplasty of the hip performed as a primary intervention. The Journal of Bone and Joint Surgery. British volume. 1972 Aug;54(1):61-76.
 https://boneandjoint.org.uk/Article/10.1302/0301-620X.54B1.61
- National Joint Registry (UK).. Hip, knee, ankle, elbow and shoulder arthroplasty procedures.
 https://reports.njrcentre.org.uk/

 
			
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