膝の痛みで悩んでいて「ヒアルロン酸注射って本当に効くの?」と感じたことはありませんか?
この記事では、ヒアルロン酸注射の仕組み、期待できる効果、効果の限界、副作用、注射回数、そして「次にどんな治療へ進むべきか」までを、整形外科専門医が解説します。
目次
この記事でわかること
- ヒアルロン酸注射とは?膝関節で使われる理由
- 効果が期待できる人・できない人の違い
- 注射回数や副作用のリスクについて
- ヒアルロン酸注射で効果がないときの次の治療法
ヒアルロン酸注射とは?膝関節で使われる理由
ヒアルロン酸は、もともと関節液の中に含まれる成分で、関節の動きをスムーズにし、衝撃をやわらげる働きを持っています。
変形性膝関節症が進行すると、関節液のヒアルロン酸が減少し、すり減り・炎症・痛みを引き起こします。
➡️ そこで、注射によってヒアルロン酸を補うのが「ヒアルロン酸注射」です。
ヒアルロン酸注射で期待できる効果
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 潤滑作用 | 関節の滑りを良くし、動かしやすくする |
| 衝撃吸収作用 | 膝の曲げ伸ばし時の痛みをやわらげる |
| 抗炎症作用 | 関節内の炎症反応を軽減する(軽度〜中等度の炎症に有効) |
特に変形が軽度(グレード1〜2程度)の患者さんで効果を感じやすいとされています。
ヒアルロン酸注射の効果に個人差がある理由と限界
- 軟骨がほとんど残っていない末期の関節症(グレード3〜4)では、効果は限定的
- 「注射直後だけ少し楽になるが、すぐ戻る」という方もいる
- 痛みが強く改善しないのに、漫然と続けるのは注意が必要
ヒアルロン酸注射の回数と副作用|安全性について
回数
- 一般的には 週1回 × 5回 が1クール
- その後は月2回ペースで継続するケースもあり
- 保険適用の範囲で必要に応じて繰り返し可能
副作用
- 注射部位の痛み・赤み・腫れ(比較的よくあるが一過性)
- 感染やアレルギー反応は極めてまれだが起こると重篤なこともある
ヒアルロン酸で効果が不十分な場合の他の治療
- サポーターや運動療法(リハビリ)の強化
- 他の注射治療(ステロイド・PRPなど)
- 神経ブロックやラジオ波治療
- 最終的には人工関節手術(TKA, UKA)
➡️ 年齢・生活スタイル・症状の重さによって選択肢は変わるため、主治医とよく相談することが大切です。
📝 まとめ
- ヒアルロン酸注射は、軽度の変形性膝関節症に有効な保存療法のひとつ
- 効果が限定的な場合は、次の治療ステップを検討する必要がある
- 続けるか切り替えるか迷ったら、整形外科での相談がおすすめ
よくある質問(FAQ)
Q: ヒアルロン酸注射はどのくらい効果が続きますか?
A: 数週間〜数ヶ月が目安です。症状の進行度や生活習慣によって異なります。
Q: 何回まで打てますか?
A: 保険診療では週1回×5回が標準的。その後も必要に応じて繰り返せます。
Q: ヒアルロン酸注射とPRP注射はどう違いますか?
A: ヒアルロン酸は潤滑作用、PRPは組織修復を促す再生医療的治療です。目的が異なります。
📩 ご相談・診療について
当院では、ヒアルロン酸注射を含めた膝関節の保存療法・手術治療のご相談を承っております。
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当センターには福知山市を拠点に、北近畿エリア(綾部市・京丹後市・宮津市・与謝野町・舞鶴市・豊岡市・養父市・朝来市・丹波市)からも多数ご来院いただいています。
この記事は京都ルネス病院人工関節センター センター長、整形外科専門医・人工関節認定医 藤井嵩が執筆しています。
参考文献・出典
- 変形性膝関節症診療ガイドライン 2023. (Minds)

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